絵についての理解


絵とは何か?又どのように鑑賞するのか?

メッセージを伝える 一つの手段である。
「月を指す指」「兎を取る網」のようなもの。
音楽、演劇、映画、小説、舞踊、とならんで
言葉に代わる、自分の思いを伝える方法です。

昔からある絵は 宗教画が多い
宗教的な思想や雰囲気、素晴らしさなどを伝える絵がよくかかれてた。

文学のように、物語を伝えるのに
絵本や漫画のようなストーリーのある絵もある。

お話を文字で語るだけでは無くて
それを、より雰囲気などを実感を込めて伝える為に
いろいろな絵画の技法が生まれてきた。

写真が発達する以前、目で観たものを正確に伝える為に
西洋で透視図や陰影法など、物質的にリアルに絵を描く表現が
発達してきました。

写真発明以降、物質的に物を描くだけでは無く 物を見た人の
主観的感情をまぜて描く事を、始めました。

水墨画という東洋的な絵の話をするのになぜ
西洋の絵画の話を 少しするかというと、
今の日本の絵画教育は、西洋絵画のものの考え方を
基礎にして教育するようになっています。
今の日本人には、このような西洋的な絵の話からすると
より理解しやすいのです。

まず、絵が「上手い下手」「良い悪い」という判断するために
絵をどういう風に見るか?ということがあります
今、一般に皆さんが思い付くことでは おそらく

写真のように描いた物が 実物と同じように見えるかどうか?
そっくりに描けていたら、すごく絵が上手く描けてる、
というのが 一つの判断基準だと思います。

たしかに、写真のように絵を描く技術というのは、
身に付けるにはそれなりに努力が必要です。
だいたい普通だとデッサン30枚ぐらいまじめに描いたら
どこかの美大には入れるくらいのデッサン力はつけれると思います。

それは、写真のようにそっくりに物を描きたいと作家が思い
絵を描く場合、写真のようであればあるほど、
その作品は、作家の思いを得てて、技術的に腕のある
上手い作家だといえます。

しかし、作家の意志が写真のように そっくりに描くということに
目が向けられてない絵に対して、「上手い下手」
「良い悪い」をどのように判断すればいいのだろうか?

今の我々が 美術教育のなかで、はっきりと統一した客観的な善し悪しの判断の
しかたを教わったでしょうか?
個人的に優れた美術教員により 教わった人もいると思いますが、
今のところ、戦後 東洋的な物の見方から、西洋的な物の見方に
変わってから どっち着かずの教育のような感じがし、
しっかりした、判断の基準を示している教育は少ないと思われます。
思われますとは、実際今現在がどうなってるのか、教員でも無いので
よく分からないのですが、自分が15年前など教わってた頃の事を
思い出すとそのように考えます。

それでここから水墨画の話ですが、写真で見るような実際の物と
違うのに、この水墨画は 良いのか悪いのか?
どのようにみればいいでしょうか?
やはり、写真のような光や影、透視図法を基準に考えればよいのか?
しかし
水墨画で竹を描いてるのを見て、本物と見た目が似てるかどうかで
上手い下手を言うのであれば、問題がどんどん出てきます。
墨で描いてる時点で、色が違います、写真のようじゃ無いと駄目だと
言うならば、もう駄目です。

しかし、そうではありません、
水墨画の良し悪しの判断基準になるのは、
簡単に技術的な事を言うと 空間のバランス、筆遣いからによる
全体の雰囲気などが 良し悪しを決めてます。

雰囲気というと 曖昧で適当な物のように感じるかもしれませんが
音楽に例えて考えると 理解しやすいです、
楽しい感じの曲、悲しい曲、ドライブ中に聴きたくなる曲
行進にちょうどよい曲、踊りたくなる曲など作曲家が訴えたい雰囲気が
音楽ではよく伝わってくると思います。

これらは、曖昧で適当な物では無く、はっきり科学的に
長調はどうだ短調をつかうとどんな感じ、など
作曲する側は、意識して分析して作ることができます。

水墨画に限らずどの絵にも同じことが言えますが、
力強い感じ、物静かで優雅な感じ、和室に飾りたい
洋間に飾りたい、床の間に飾りたい絵、見てると気持ちが引き締められる絵、
さまざまな、雰囲気を感じると思います。

その、作家の示したい感じと言うのが、はっきりしていたら
わかりやすい絵といっても いいでしょう。
(曖昧さを表現したいなど、なにもかもはっきりさせない事を表現するという、
表現も有るので 「わかりやすい絵」とします。)

「優雅な絵」といって幾つかの絵を比べた場合、一番その感じが出ているのが
その中で一番優雅さを表現できてる 一番良い絵だと言えます。
悪い絵はその逆です、何を描いてるか 何が言いたいのか?
よくわからないのは、存在価値が弱い良い絵とは言いにくい絵です。

注意しないといけないのは、絵に対して 良い悪いの判断を下す為には
沢山作品を見ないと、判断しようがありません。

普通の人から、プロの相撲取りを見た場合、幕下でもとんでもなく
強く大きく感じます、その人だけ見て「すばらしい!この相撲取り最高だ!」と
いきなり判断をすると、まだまだ大関も横綱もいるわけですから、
もっといい物を見落としてしまうという 真に勿体ない事があります。

水墨画も判断するのには、沢山見る事が基本になります、
一つだけ作品を見てもいいか悪いかは、判りかねますが、
二つの作品を比べると、なんとなくこっちがいい こっちは嫌だなどど
判断ができます。

上で述べて来た 作家の表現しようとしている物事は何か?
自分はそれをどう感じているか?受ける印象を理解するつもりで
いい作品を沢山見て
その積み重ねで絵を見る目を鍛える事がでおのずと
自分の中での良い絵悪い絵が出てくると思います。


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(c)Nagao Masahiro